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増大するデータトラフィックに対して変化・成長を続けたプロダクト。Chief Architectが語るRepro開発組織の過去と未来

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People

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Mid-careerDevelopmentChief Architect
共通基盤の開発・運用を担うCore Unitのリーダー、Chief Architectを担う橋立。2016年にCTOとして参画して以来、開発組織の最前線に立ち続けてきた。大量のデータトラフィックを扱うプロダクト開発の裏側、目指す開発組織の形とエンジニアとして得られる成長機会について話を聞いた。

目の前のニーズ・問題への対応よりも大事なこと

–現在の業務内容を教えてください。

Development Divisionにおいて共通基盤の開発・運用を担うCore Unitのリーダーを務めながら、全体的なChief Architectとしても働いています。Chief Architectの業務内容は、このようなものです。

・ビジネス、プロダクトの中長期計画に対して必要な基盤の先行設計・開発 ・新規導入するミドルウェア、プログラミング言語のリサーチ、選定、初期実装 ・全体設計へのアドバイスや開発難易度の高い一部業務への支援・レビュー

技術面は主に私がリードしていますが、VPoEの三木、Sub Division Managerの矢部が組織面の構築・マネジメントを担当しています。自分が得意なことに集中できる体制を一緒に作れていることはとてもありがたいですし、中長期的なビジネス戦略に対して開発計画を立てる際にも2人に相談をさせてもらっています。

–業務上、意識していることを教えてください。

開発を行う際、目の前にあるニーズに応えること、目の前の問題を解決することは大事です。一方で、それをやり続けると似たような機能が作られるなどしてシステム全体が肥大化します。一度作ったシステムは消せずに残り、残ったものが後から作ろうとする機能の開発の障害になることもあります。

そういうことを踏まえ、できるだけ無駄なものを作らないようにしています。

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具体的には、サービスを通して本当にやりたいことを理解し、一度抽象的なレイヤーまで引き上げて考え、複数の具体的な問題を同時に解決できるひとつの機能を作るようにします。こうして意思決定することでメンバーが有効な仕事に集中でき、技術的に妥協のない仕事ができるようにもなります。

–やりがいを感じる場面はありますか。

率直にいうと、私の仕事はやりがいを感じづらいものです。開発が完了しても変化や影響を感じられるのは数ヶ月後〜1年後…というものが多く、短期では変化を感じづらいんです。

そのような仕事なので、目の前の今…その瞬間に実感を求めるより、後から振り返った際に「難しいことをやっていても、それなりに外していない仕事ができていれば自分を労う」と捉えるようにしています。

日々の自己評価でモチベーションを保ちつつ、中長期的な変化を実感できた時にはやりがいを感じます。

–働き方において工夫をしていることはありますか。

仕事をしていて、うまくいかない、うまくできないとなった時、悔しいですよね。仕事で壁にぶつかった時、器用な方や他の仕事にも活かせる強みを持った方であれば、「少し冷静に考えて、仕事を変えてみようか」となることもあると思います。

私の場合はエンジニア以外の仕事にも適応できるような器用な人間ではないので、「なんとかしてこの仕事をうまくやりたい、やり遂げたい」と考えながら、「うまくできない自分にムカつく、悔しい」という感情を原動力に変えています。

しくじったらへこみますが、そこそこうまくやれたことがあれば客観的に都度自分を褒めることを繰り返してきました。その結果、今では日々の感情や他人にモチベーションに左右されづらい自分なりの働き方が身につき、長い時間軸の仕事もやり遂げられるようになりました。

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エンドユーザーの規模とともに求められたシステム変革

–入社の経緯を教えてください。

神戸大学法学部を卒業した後、大手企業でテクニカルエンジニアとして勤務しました。転職して受託開発業務に携わった後、フリーランスとして働き始めます。Reproとの出会いは、この頃でした。

以前勤めていた会社で知り合った方の紹介で三木と知り合い、その後代表の平田とも話す機会がありました。当時Reproには技術的に優れたメンバーが必要とのことで、「CTOとしてジョインしてくれないか」とオファーがありました。

–オファーを受けた時はどうでしたか。

当初私はCTOとして責任を背負って働くのは向いていないと感じていて、友人が勤めていた会社への転職も選択肢にありました。

ただ、CTOとしてベンチャー企業で働ける機会もそうないだろうと感じたことに加え、責任と裁量を持って自らの意志で決断できる機会が多い環境に身を置くことが自己成長に繋がると考え、Reproへの入社を決断しました。

–当時のReproはどのような状況でしたか。

マンションの一室をオフィスにしていて、たしか自分の社員番号が「16」くらい。全体のメンバー数が20人程度で、業務委託の方も含めて10人程度で開発に取り組んでいました。プロダクトは1つで、エンドユーザーの規模も今と比べるとかなり小さかったと思います。

入社後エンドユーザーの規模が1年で10倍になった時期、その後さらに拡大していった時期には、都度既存システムのパフォーマンスが追いつかなくなるシーンがありました。こうなるとシステムを分割してトラフィックを分散させ、また結合するような対応が必要になります。

対応に必要なソリューションを調べ、想定されるデータ量が処理できる構造をロジック上で整理し、会社全体の計画を理解した上で先行して開発・実装していくようなことを行っていきました。

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–当時自身が携わった対応や業務について教えてください。

Reproは B to B to Cサービスであり、顧客とエンドユーザーが存在し、当時からReproのサービスはデジタルマーケティングツールとして提供していました。ユーザーの行動をデータから読み取り、適切なアクションをタイムリーに起こすことが重要になるデジタルマーケティングにおいて、(顧客の事業成長のためには)利用者動向を集計してビジネスに活用できる情報として加工・出力されるまでの時間(インターバル)をできるだけ短くすることが求められます。この間のリードタイムが長いほどタイムリーなアクションを起こせず、機会損失に繋がるからです。

このインターバルが数時間あった時期もありましたが、ミドルウェアの「Kafka」を導入してアーキテクチャを組み替えていくなどの対応をし、1時間、1分、数秒…と次第にインターバルを短縮していくことができました。

また、導入数が増えるにつれて、顧客の事業成長に必要な機能としてセグメント機能やキャンペーン機能等の開発にも取り組んできました。機能を拡充しながらデータ基盤と繋ぎ合わせていくことは容易ではないものですが、都度方法や新しいソリューションを調べたりエンジニアコミュニティで知り合った方々に相談したりしながら実現方法を探り、形していきました。

–自身の成長の転機となった経験、場面はありましたか。

Reproの事業の成長とともに生じる問題に対応する過程で、自分の知識量や技術力はどんどん上がっていきました。どこかの時期が成長の転機だったということはなく、向き合ってきた問題の一つひとつが成長の機会だったと思います。

また、CTOや Chief Architect として会社全体の開発業務を見る役割を担ってきたことで、ビジネスと技術の両面から物事を捉え、仕事を進めてきたことも自分の成長に繋がったと感じています。

Reproはどのような価値を創出したいのか。そのためにどのようなビジネスをしていて、今後はどのような展開を考えているのか。実現するには、どのようなシステムが必要で、それはどのような技術で実現できるのか。どのような手順と計画で実現できると、ビジネス面と整合性が取れるのか。その過程で発生しうるリスクや計画されているもの以外の展開にはどのようなものがあって、どのような対応策があり、あらかじめ準備しておくべきことがあるとすれば…。

こんなふうに考え、対応し続けることで、視座・視野、知識量、技術力など多面的な成長に繋がりました。

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プロダクトの成長とともに生じる問題全てが成長機会

–Reproの特徴はどのようなところにあると思いますか。

Reproの特徴の一つに、データトラフィックが多い点が挙げられます。同等のデータ量を扱う会社と比べると、会社の規模としては小さく、比較的少ないメンバーで大規模なデータを扱っています。 

安定して多くのデータ量を扱いながら、スピーディーかつ柔軟に顧客が(データを)扱うことができるサービスを実現できていることは特徴的な部分だと思います。

–Reproで働くことで得られる成長機会にはどのようなものがありますか。

先述のようなことを組織、チームとして実現していくわけですが、比較的少人数で対応していくとなると個人に任される仕事の範囲や責任も大きくなります。自ら考え、意思決定する場面も多くなり、一方で上司のサポートやメンバーとの協力もありますがプレッシャーを感じる場面も増えます。

例えば、10万件では問題がなくても、1億件以上の規模のデータ量を扱おうとすると、(前章の中でも触れましたが)システムを分割せざるを得なくなり、複数のシステムにまたがって運用する形になります。

そうなると、先進的なアーキテクチャに対する知識が業務上必要となります。さらに、実現したいシステムの構築に必要なツールを調べ、実際に触ってみて、組み合わせを考え、実装する…という流れになります。

こうした業務の経験を得られる職場はそう多くないですし、プロダクトの成長とともに都度生じる問題に対して当事者意識を持ち、対処していくことはエンジニアとしての成長につながると思います。

–今後の開発組織の展望を教えてください。

Reproが成長するにつれて、今後も扱うデータ量は増え、機能も増えていくことが予想されます。今後も開発速度を維持しながら発生する問題やミッションに対応していけるようにするには、一人ひとりのメンバーが素早く自己判断を下しながら仕事を進められる環境、複数のチームが自立して動きやすい組織の構造設計が必要になります。ここは今後三木、矢部とともに話し合い、推進していきます。

また、進歩するビジネス環境もみながら顧客の事業成長に貢献できる新しい機能、選ばれる魅力を作っていくことも考えていかなければなりません。Reproでできることの幅を広げ、引き続き開発面からReproの可能性を引き出し、届けていきたいと考えています。

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取材・執筆=株式会社ユニーク
写真=Akiko Kawada

2025.06.20
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